2013. 8.28 Wednesday

「わずか9%」の国民しか支持していなのだが・・・。



シリアの化学兵器使用疑惑を巡り、米国と同盟国は27日、シリアの反体制派に対し、数日以内に政府軍への攻撃を行う可能性があると通告した等と報道されている。

一方で、米国民のそれに対する支持率はわずか
9%と、稀に見る低水準に留まっているのだ。

 


1983
年のグレナダ侵攻(カリブ海に浮かぶ島国グレナダでクーデターが起きた際、米軍及び東カリブ諸国機構参加国軍が侵攻した事件)以降、米国主導による所謂「軍事介入」は、大きなものでは今次のシリア介入が7回目である。

 

過去6回に関しては、最低でも50%程度の国民支持を得ていた。

今般の9%という数字は、あまりにヒドイ !!!

 


 
( Image Photo )


( 写真をクリックして、図説ページを確認 ! )

 



そもそもオバマ大統領自身が中東に対する米国の関与の縮小を望んでおり、その背景には概ね以下の3点が存在すると言われる。

 


1.
クリントン政権時代のコソボ空爆

 

クリントン政権は1999年、内戦状態に陥った旧ユーゴスラビアで激しい人権弾圧を行っていたセルビアに対し、NATO軍を組織して空爆を実施した。

 

コソボ地域からセルビアを撤退させることは成功したが、コソボは破壊し尽くされ大量の難民を生み出す結果となった。 また外交的には大きな成果を上げることができなかったことから、軍事介入への効果が疑問視された。

 

特に議論の対象となったのは、米国の国益とはほとんど無縁のバルカン半島地域で、わざわざ軍事介入を行うことの是非であった。

 


2. ブッシュ()政権時代のイラク戦争

 

ブッシュ政権は2003年、大量破壊兵器を開発・保有する独裁国家イラクの脅威から国際社会を守るためとの大義名分の下、イラクの首都バグダッドへの空爆を開始し、アルカイダによる911テロへの報復としてイラク戦争を始めた。

 

しかし、フセイン政権が崩壊し戦闘が終結しても、開戦の理由だった大量破壊兵器は発見されなかったのである。 その後、米国政府は独立委員会で経緯を調査し、大量破壊兵器の情報は虚偽だったと結論付けた。

 


3. 近年のシェールガス革命

 

かつては大量に石油を輸入していた米国であるが、近年シェールガスの開発が進んだことで、米国はエネルギーの輸出国に転じる可能性が高くなってきており、従来の図式が大きな変容を遂げようとしている。

 

つまり、中東の位置付けそのものの戦略的ウェイトが、相対的に大きく低下してきているのだ。

 

 


これらを考慮してみると、今般の米国民支持率が極めて低調であることは頷ける。


逆に、その大きなギャップを抱えたまま、どちらかと言うとやや強硬的にその一歩を踏み出そうとする米政権の真意を汲み取ることは容易でない。

 

「世界の警察」との立場を貫き通す理由は、その恩恵を被る方々が依然数多く存在するからであろうが、ここではこれまでにしておこう。

 



さて、国民支持率の高低は、米国ですら政府の意図や行動に影響を及ぼし難いことが分かった
(ある意味、当然であると言えなくもないが・・・)

 

我が国では、今後、本格的に「憲法9条問題」「国防軍創設」「核エネルギー問題」等が議論されることとなるだろう。

 

但し、「Que sera sera(なるように、成る。 ≒なるようにしか、成らない。) といった発想だけは持たない様にしたいものである。




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