2014. 2. 3 Monday
≪EM fly to US or Frontier ? ≫
アルゼンチン・ペソの急落で始まった新興国の通貨不安。 トルコや南アフリカの利上げも決め手を欠き、各々の通貨は対ドルで最安値圏にある。 怯えた資金は、米国・日本・スイス等に逃避(逆還流)し始めたと言われるが、見逃してはならない動向がある。
FRBの金融政策を決めるFOMCは、昨年12月18日、QE3の縮小に踏み切ると発表。
2014年1月から月額850億ドル規模の証券購入額を100億ドル減らし、750億ドルとした。 加えて、2月から更に100億ドル減少させ、月額650億ドルとすることになった。
米国の行動に関しては、新興国から不満の声もくすぶり始めた模様で、一部では22・23日にシドニーで開催されるG20でも議題に上る可能性が大きいとの情報もある。
一方、米国サイドからは、「新興国市場が動揺する本当の原因は、緩和の縮小ではなく各国のつたない政策にある。」との反論も出ている。
客観的に且つ冷静に経緯を紐解いてみれば、それはリーマン・ショック以降の危機対策を正常に戻す課程に過ぎず、またこれまでにバラまかれた過剰流動性の恩恵を最も享受してきたのは他でもなく新興国であり、筆者は、どちらかと言えば米国サイドの主張に軍配を上げる。
ところで、高利回り(ハイ・ハフォーマンス)の実現には、「リターンの極大化とリスクの極小化」が基本的なストラテジーであることは、これまで度々コラムにおいて触れてきた。
が、投資家がリスク資産と安全資産の間を単純に資金移動させていることはまずあり得ない。 彼らの投資スタンスや行動パターンはもっと複雑で、ハイ・パフォーマンスを実現するための術として、常に「時間軸」を念頭において投資・回収を行っているのだ。
米調査会社EPFRグローバルによると、フロンティア市場の株を購入するファンドへの1月(29日迄)の資金流入額は2億4400万ドルとなり、昨年10月以来の最高となった。
一方、新興国市場ファンドからは1月だけで116億ドルが流出した、と言われる。
因みに、2013年はフロンティア・マーケット指数は16%上昇、エマージング・マーケット指数は12%の下落であった。
尚、フロンティア市場とは、概して言えば、今後、数年にわたって安定的に成長する条件が整っており、多大な若年人口を擁している国々の市場で、2000年前後のBRICSと考えて良かろう。
代表的な国々は、ナイジェリア・パキスタン・バングラデシュ・ベトナム等といったところであろうか。
IMFは、規模の大きいフロンティア市場の殆んどが今年少なくとも5%成長すると予測している。 国別の成長率予想は、ナイジェリアが7.4%・バングラデシュは6
%。一部の新興国市場の成長率見通しはこれより低く、ブラジルが2.5%・トルコで3.5%である。
(但し、フロンティア市場は新興国市場より規模が小さく、投資環境が整備されているとは言い難い。)
筆者はフロンティア市場は分散投資先として非常に有効であると考えている。 それは今のところ国際資本市場と殆んどリンクしていないため、ここにこそ時間軸の観点を持ち込む余地があるからである。
本邦株式市場の場合、外国人の売買比率が約63%を占めていることは周知の通りである。
実効性の高い「第3の矢」はいつ放たれるのだろうか・・・?
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