2013. 6. 7 Friday
≪株価のボラティリティーが、異常≫
株価の異常な値動きが収まらない。 日々の上下動が5%を超え、更に何往復もしてしまうという日も少なくない。
政府要人らからは、「火消し」を目論んだ発言が頻発するようになったが、市場はそう単純な仕組みで成立ってはないのである。
因みに、菅官房長官は6日午前の会見で、「安倍政権が政策を打ち出して以降、株価は5割も上がっている」と指摘、「自信をもって経済政策を進めていきたい」と語った。
また、わが国の景気は着実に持ち直しているとし、「(株価の)動向を見守りながら、三本の矢を着実に進め、やるべきことをしっかり実行に移していくということで臨みたい」と。
為替については、「80円を超えた円高が今は円安になっている」と指摘。
全体とすれば経済にプラスの影響を与えていると語った。
成長戦略を発表しても株価が戻らないとの指摘には、「市場のために政治をやっているわけではない。」と答弁。
尚、株価反落の要因はともかく、上下動をそれも相当の値幅を伴って相場が変動してしまう事態に関しては、麻生財務相は以下の様にコメント。
「HFTという機械に乗せて(取引を)やると、一方的に上がり始めるとうわっと上がるし、下がるときはだっと下がる。 人間だったらそんなことにはならない。」と、自動高速取引の活発化が大幅な値動きを助長していると指摘。
「1日でこれだけ(株価などが)乱高下するのは、あの機械のおかげ」と苦言を呈しながら「これは、という判断ができるのは、人間しか残っていない。」等と話したとされる(5月28日)。
さて、株価や長期金利の水準は、将来の見通しや期待感等を交えつつも、基本的には実体経済の動向に呼応する。
例え、一方的な円高であったとしても、年率2%程度の緩やかな値動きであったり、長期金利の上昇がせいぜい年率0.5%程度の緩慢な上昇であれば、各企業等の経営者や財務責任者は予めの対応を取る術を持つことができる。
しかし、今般の株価や為替相場に代表される様な異常な値動きは、彼らの頭を相当悩ましていることだろう。
また、個人投資家も、5月23日迄の、「(株が)上がるから買う。」「下がらないから上値を追う。」等といった状況が一変し、「下がるかと思えば、戻ってくる。」「大丈夫だと思っていたら、急落してしまった。」等と、『ジェット・コースター搭乗相場』に辟易としているはずだ。
因みに、日本銀行法では、日本銀行の金融政策の理念を「物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資すること」している。
日銀は、「物価の安定が大切なのは、それがあらゆる経済活動や国民経済の基盤となるからです。 市場経済においては、個人や企業はモノやサービスの価格を手がかりにして、消費や投資を行うかどうかを決めています。
物価が大きく変動すると、個々の価格をシグナルとして個人や企業が判断を行うことが難しくなり、効率的な資源配分が行われなくなります。」とHPで公表している。
この「物価」を「株式等の市場価格」に置き換えてみると、興味深い。
無論、その責任は日銀のみに課されるものではなく、政府等を含めた金融経済当局者となるのだが・・・。
「金融経済が、実体経済を振り回す」様になってから、既に相応の時間が経過してきている。
今、当該当局者に求められているのは、株価の急騰や、急激な円安進行、長期金利上昇の抑圧的な押さえ込みを助長するような画期的な政策ではないのである。
株式等の市場価格の不測の上下動、つまりボラティリティーを急激に上昇させてしまう事態を回避させつつ、実体経済に恩恵をもたらす政策を着実にそして堅実に遂行して行くことなのである。
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≪ ご参考 ≫
日本銀行 HP
日本取引所 HP
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