2013. 3. 2 Saturday ≪【図説編】消費増税「前」の値上げを検討)≫
「今、九州で試験的な値上げをしています。 100円の商品を120円にして、上手くいったら消費増税の前に値上げをする。 増税前に早く値上げをして、増税時には価格を一切変更しない。 そうすれば消費者は安心しますから、消費意欲は衰えないでしょう。」 更に・・・。 「消費増税と同時に値上げするのは、明らかに愚策でしょう。 そもそも、消費税を理由に値上げをするから、消費が止まるんです。」 「事前に値上げをして、消費増税分を吸収する。 それくらいの知恵を使って、消費増税に備えるのが経営者の責任でしょう。」 原田・日本マクドナルドホールディングス会長兼社長は、日経ビジネス記者の「2014年には消費増税が控えています。 原材料の輸入コストが高くなっているから、何とか持ち堪えて消費増税と同時に値上げをしようと考える経営者も多いようです。」との振りに対し、上記の見解を披露した。 所謂「アベノミクス効果」で、円安・株高・債券高が進行している。 とりわけ円安により、原材料を海外からの輸入に頼る外食産業では、大きな影響を受け始めていることは事実。 一方で、消費者にすぐさま価転嫁するには厳しい環境が続いている。 また、(マクドナルドのハンバーガーが、ということではないが)「馬肉等混入事件」が欧州各地で発覚、大問題となっており、販売促進活動には少なからず影響を及ぼすことも懸念される。
英エコノミスト誌が行う「肩の凝らない」外国為替相場の分析だ。 それは、購買力平価(PPP)の理論で、この説に従うと、価格と為替レートは長期的に調整が進み、いずれは同じ貿易財の入った買い物かごが世界中で同一価格になっていく、とするもの。 買い物かごに入っているのはビッグマック1 個だけ。 世界中どこでも同じ材料を使って同一商品を作ろうとするマクドナルドの努力を当てにしている(インドに関しては牛肉の代わりに鶏肉を使ったマハラジャ・マックで計算。 各地での馬肉等混入問題は考慮せず)。
サンプル内で最も高額であったのは、ノルウェーの7.84ドル(約714円) 。 欧州各国は全般的に、5ドル(約455円)近辺に、集団的にプロットされる。
すると、Fx
Trader 的には、南アフリカ・ランドを買って、ノルウェー・クローネを売って暫くじっとしておくのが最大利益を追求するとの観点では、最も効果的ということになる。 しかし、世の中は、そう単純ではない。 為替相場が大動きすると、「日本円は米ドルに対し、20%近くも割安だという結果が出た。 アベノミクスによって、急速な円安が進んでいるためだ。 欧米諸国は、日本が自国の輸出に有利になる通貨安競争をあおっていると不満を強めており、ビッグマック指数が、更なる批判材料とされかねない状況だ。」等といった「大胆な」見解を耳にすることがある。 増してや、次期日銀総裁候補の一角に名が挙げられていた方が、「我が国のPPPのレベルから考察すれば、ドル円レートの適正水準は95円前後だ。」等と豪語していたのを耳にし、唖然とすると同時に情けなくもなった。
物の値段(価格)には、時に「非連続な現象」が生じるという事実である。 消費増税しかり、FTAやTPP等による輸入コストへの影響しかりなのだ。 市場の為替レートが常にPPPを追求し、中長期的に各国通貨が均衡して行くという理論は全面否定し得ないものの、諸環境が加味された物の値段の調整により、現在の為替水準が肯定されてしまうことも一般的な現象として起こり得るのである。 尚、図表で示したが、国民一人当たり名目GDP(USD)とBMI(USD)の間には、有意な相関関係を見て取れる。 これは、敢えて説明を要しないであろう。 しかし、原田氏は、「そりゃ、値上げはしたいですよ。 したいけれど、顧客満足度のスコアがもっと上がらなければ、(値上げは)することができない。」 等と返したとのこと。
|
Calender |
≪ Feb │ Apr ≫ |