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2012. 11. 11 Sunday
SNB大賞及び各部門賞受賞者表彰式にて思うこと

公財)さいたま市産業創造財団の登録専門家であること等から、「さいたま市ニュービジネス大賞2012」受賞者表彰式典に出席してきた。

今年は県外所在企業も含め合計87の個人事業者・法人がエントリー、3次までの厳格で公正な審査を経て、ニュービジネス大賞の他、ソーシャルビジネス賞や優秀プラン賞など各賞受賞者が決定された。




応募対象は、「さいたま市の地域や市民生活に関わる課題の解決と地域経済の活性化や社会の快適性・幸福度の向上につながることを期待」されているもので、「社会の課題を解決し、さいたま市を元気にする斬新でアイディアあふれる」ビジネスプランであった。

 

プランである為、「申込時点で1年以内の実施を見込んでいること」や「既存事業とは別の新規事業を起こそうとしている」場合でもエントリー資格を得られるわけであるが、各賞の受賞者は何れも既に一定(或いは以上)の成果を出していた。


尚、審査基準は・・・、
事業アイディアの新規性・独創性  ② 事業の市場性・成長性 ③ 競争優位性 ④ 事業の実現可能性・発展性  ⑤ 社会貢献度  ⑥ 経営者能力(3次審査のみ)。

 



さて、栄えある「ニュービジネス大賞2012」を受賞した会社は・・・、
『有限会社昭和プレス』
(
プラン名 : MADE IN 町の板金屋~さいたまから日本に笑顔を届けます~)

 

「さいたま(浦和)で創業して50! 町の板金屋さんが、技術と経験とアイディアで、こんなもの創っちゃいました!(同社)、とのことで、その「こんなもの」とは『焚き火グリル』。 (詳細は、 同社HP をご参照)

 

尚、髙久社長によると、「リーマンショック後、月一千万円あった売上が200万円に落ち込み、廃業の危機が迫っていた。」 しかし、「長年の夢だった『自社商品』で生き残りをかけました。」とのこと。

 

これまで数々の労苦があったようですが、ご家族並びに各方々に支えられると共に、社長自らが夢の実現に向けて信念を貫き通し、持ち前の技術と経験等を活かして事業転換を果たしながら、「企業の再生に尽力・奔走する熱い思い(決して諦めない心)」が自然と醸し出されていました。

 


(さいたま市の「ゆるキャラ」は、『つなが竜 ヌゥ』。 「ヌゥ」とはフランス語で「飾り気のない」を意味する。)

 

 

ところで、他の各部門賞受賞者6社の内、なんと3()は精神疾患や障がい者の直接的或いは間接的支援をビジネスモデル化したものでした。

 


以下に、当該各賞と受賞者()の概要を略記すると、


  ソーシャルビジネス賞及び女性起業賞
『プルスアルハ』
(
プラン名 : 子ども向け心理教育絵本制作+普及)

「精神疾患を抱えた親御さんと、そのお子さんを応援するためのオリジナル絵本の制作が活動の柱。」


  コミュニティビジネス賞
『NPO法人けやきファーム』
(
プラン名 : 障がい者の就労の場を創出する、農業を中心とした地域ビジネスの創出)

「障がい者の自立支援を応援する環境として、農業後継者不足に伴う耕作放棄地を活用し、障がい者の就労の場の確保を目指す。」

 
  審査委員特別賞
『一般社団法人tokotoko 発達支援センター』
(
プラン名 : 重度知的障害者のQOLを高めるための就労支援!!! 児童発達支援から就労支援まで、一貫したサービス)

「障害児・者が、自分で考えて、判断・行動し、社会に貢献できる人になろう、との理念の下、2歳から18歳までの障害のあるお子さんの療育を行う。」

 


これらのビジネスは、社会的貢献度が高い一方で、企業のゴーイング・コンサーンに不可欠な要素である利潤の追求と蓄積が、ともすれば置き去りにされかねない可能性を孕んでおり、両輪が上手くバランスし巡航速度を維持できるよう見守って行きたいところである。

 



さて、平成24年版障害者白書によると、身体障害児・者が約366万人、知的障害児・者が約55万人、精神障害者が約323万人とされており、およそ国民の6%が何らかの障害を有していることになる。

 

尚、厚生労働省は、企業における障害者の法定雇用率を、平成2541日から2.0%(現行1.8%)に引き上げることを決定し、620日に公布している。


同時に、義務づける企業の規模も従業員56人以上から50人以上に広げた。
企業の障害者雇用は昨年、過去最多を記録するなど全体として増加傾向にあり、引き上げでさらに促す方針。

 

昨年6月時点では、従業員56人以上の約7万5千社のうち、雇用率を達成している企業は45.3%。この改正で対象企業は9千社以上増え、現在は達成しているが未達成になる企業も出る。 また、今のままだと達成企業の割合は6ポイント程度下がってしまう模様。

 

因みに、運用実態の比較は困難であるが、諸外国の障害者法定雇用率を挙げてみると、イタリア:7%、フランス:6%、ドイツ:5%そして韓国:3%・・・日本は、引き上げ後においてもその水準の低さが目に止まる。

 



前回のコラムでは、男女の平等度合いを指数化した「ジェンダー・ギャップ指数」について触れたが、それをも踏まえると、我が国が「真の成熟(大人の)先進国となる道のりは、相当長い」と言えるだろう。




≪ ご参考 ≫

平成24年版障害者白書(本文)


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