2012. 4.10 Sunday
≪ アクロポリスの次は、「警官」貸します。 キリシャ ! ≫
今年1月に、「アクロポリス(Acropolis)貸します」と打ち出したギリシャ。
今度は、警察官を1時間30ユーロ(約3,200円)で貸し出す等と発表しました。 3,500億ユーロ(約37兆円)にも上る負債を抱え、欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)から2回にわたって融資を受けた同国の苦闘はまだ続きそうです。
同国国民保護省によると「貸し出しには治安部隊の任務遂行能力に影響が出ない範囲でのみ応じる」とのことで、「生まれる収入を警察の備品・インフラにかかる費用に充て、組織の近代化を図ることができる」等と説明しています。
尚、「アクロポリス」に関して、ギリシャ文化省は「遺跡の貸し出しはギリシャ古代遺跡を身近なものにする働きかけに役立つ常とう手段であり、収入は遺跡の維持や監視にあてる」等と説明していました。
これまでギリシャの遺跡の商業利用を管轄してきた考古学中央評議会(Central
Council of Archaeology)は、遺跡の貸し出しについて慎重な姿勢を取ってきたため、一部の例外を除いて映画やコマーシャル撮影での使用は大半が拒否されていたとのこと。
商業写真の撮影用ならアクロポリスを1日わずか1,600ユーロ(約17万円)で借りられる等との説明がなされています。
因みに、「アクロポリスの丘」では、古代ギリシャ美術を代表する4つの傑作、パルテノン神殿、プロピュライア(神域の入り口の門)、エレクテイオン、アテナ・ニケ神殿が二千年の時を刻んでいます。
( 出所 : world heritage )
そこで、興味深い計算を試みてみましょう。
ファッション雑誌掲載の商業写真撮影のためアクロポリスを10日間借り切ることにした場合、ギリシャ側の収入は約16,000 ユーロ。警備のために警官を同期間、50人を1日3交代で借り切り、警察車両(1時間10ユーロ)5台を借りて配備し続けた場合、372,000ユーロの収入。 しめて、388、000ユーロ(約41百万円)になります。
この様なアクロポリスの丘借用が年10回行われると仮定すれば、年間収入は3,880,000ユーロ。 3,500億ユーロをその収入で割り返すと、90,206.185 ・・・。
つまり、9万2百余年の歳月が必要ということですね・・・。
もちろん、財務削減の源資をこの様なスタイルに頼っているはずはありませんが、それらの試みが如何に「涙ぐましい努力」であるかを実感して頂けると思います。
ところで、同国政府が、EUとIMFによる融資の条件として求められた支出削減に取り組む中、認可を受けた遺跡発掘プロジェクトに対する国の資金援助は減らされ、更に考古学的価値の高い遺物の密輸が増加している模様です。
1月にはアテネの国立美術館(National
Gallery)でパブロ・ピカソ(Pablo Picasso)の貴重な絵画など計3点が、2月には古代オリンピック競技博物館(Ancient
Olympic Games Museum)に武器を持った2人組の強盗が押し入り、展示品70点超が奪われる事件等が起きています。
ミコノス島やロードス島、クレタ島などを加えてギリシャ国家そのもののバランスシートを時価評価したことはありませんが、場合によっては優良資産の切り売りや証券化による売出し代金を充当する等の手法で、債務の圧縮が必要なのかもしれません。
良質資産はその価値が広く認められている間に換金する等して、先ずは既存の過剰債務を減らす。 決して「追い貸し」には頼らない。
これが「デット・スパイラル」に陥らないために要求される初期行動であることは説明するまでもありません。
それにしても、あの「涙ぐましい努力」の考案は、立派・・・。
頑張れギリシャ ! (我が国も・・・)
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