2012. 4. 8 Sunday
≪ 頼みは、『赤いハゲタカ』・・・? ≫
中国・寧波を訪問中の玄葉外務大臣は7日、楊中国外交部長との間で日中外相会談を行い、震災で大きな被害が出た岩手・宮城・福島を訪問する中国人観光客を対象に、有効期間内であれば何回でも日本に出入国できる数次ビザの発給を、7月をめどに始める考えを伝えています。 しかし、訪日する中国人の内、約4割は観光目的以外なのです。
中国人観光客への数次ビザは、沖縄県を訪れる観光客を対象に昨年7月に発給が始まっています。 観光数次ビザの発給は、日本では初の試みでした。
日本政府としては、購買力の大きな中国人を沖縄に振り向け、観光を柱とした経済振興にテコ入れしたいという意図があった等と言われていますが、本質的な部分では、遅々として進展の見られない「沖縄米軍基地問題」を前進させる為の一手段と位置付けられている可能性が高いのではないでしょうか。
さて、こちら( ⇒
)をクリック頂くと、2003年以降の「国籍別・訪日外客数の推移」をご覧頂けます。
資料では割愛しましたが、2010年の総訪日外客数は約861万人。 震災のあった2011年は約622万人と27.8%も激減してしまいました。
また、採択した上位7か国の全体に占める割合は、例年80%弱を占めています。
恒常的にトップは韓国人で、150万人程がベースとなっており、多い年は250万人程度へと増加しています。 中国人は2003年から2010年で約3倍に増え、150万人に迫る勢いでした。 また、米国人に関しては、リーマン・ショック等による景気低迷や急激に進んだ円高の影響を受けたと思われ、2008年以降減少に歯止めが掛っていません。
ところで、この資料の注目すべきポイントは、来日外客の内、観光を目的とする人の割合です。 2010年、韓国人は80%、香港人は93%が観光を目的としているのに対し、中国人のそれは60%に過ぎません。 因みに、米国人のその割合は63%程度・・・。
今般の東北3県訪問が沖縄のケースと同様になると仮定すれば、90日以内の滞在なら何回でも再入国でき有効期間は3年。 通常のビザは滞在期間が15日なので、中国人にとって魅力的なものになるでしょう。
4月2日に東京商工リサーチより公表された「東日本大震災」関連倒産(3月30日現在、速報値)によると、「震災関連」倒産の累計687件の都道府県別では、最多が東京の178件。 次に北海道51件、福岡38件、岩手と宮城が各29件、福島と大阪が各28件等となっており、当該3県の比率が高いことが分かります。
尚、産業別では、製造業が166件で最多。 次に宿泊業・飲食店などを含むサービス業他が165件、卸売業が122件、建設業が109件、小売業が56件と続いています。
(図をクリックで、拡大)
( 出所 : 東京商工リサーチ )
さて、90日以内に何回でも出入国が可能・・・。 観光目的で詳細に現地視察を行うには十分な時間があります。
その後は・・・、
ビジネス(投資や買収)目的で来日する中国人の数、増えて行くのでしょうね・・・。
≪ ご参考 ≫
日本政府観光局 HP
東京商工リサーチ HP
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