2012. 4.26 Tursday
≪ 「節電・計画停電」・・・その先のに求めるもの ≫
枝野経済産業相は25日、主要経済紙とのインタビューに応じ、「(今夏も)自然体以上の節電協力を呼びかけることになる。 猛暑に備え、計画停電などの発動準備が必要。」とし、電力使用制限令を含めた強制的な需要抑制策を取る可能性を示唆しました。
産業界を含め再び国民に負担を強いることになりますが、国民はその先の何を期待しているのか・・・?
尚、同大臣は、原発の利用・活用は短期と中長期に分けて対応する方針で、当面は「安全性を最大限確保しつつ、必要に応じて原発を利用する」と述べ、原発再稼働に前向きな姿勢を示しました。
再稼働を巡って揺れ動く「関西電力大飯原発3・4号機(福井県おおい町)問題」との関連では、『(神の)見えざる手』の如く「日本原子力発電敦賀発電所(福井県敦賀市)・原子炉建屋直下の活断層存在懸念」が急浮上。
他の原発立地箇所にも同様の状況が推定されるとの見方もあり、国民的議論に発展しつつあります。
また、社会保障と税の一体改革関連での消費増税関連法案審議入りは大型連休開けへの持ち越しが濃厚となり、TPPに関しては「国民的な議論が煮詰まった段階で判断する」(野田首相)として、29日からの訪米に合わせた交渉参加表明を見送る意向が表明されるなど、山積された重要事案は遅々として進展をみせない様相です。
その様な状況は端的に内閣支持率に現われ、茲許急低下が見られます。
( 出所 : NHK )
加えて今夏、電力逼迫による供給停止が国民生活や経済活動に多大な悪影響を及ぼした場合、やや明るい兆しの見え始めた景気回復の芽が摘まれてしまう可能性は高く、政府要人らが事態の切迫性から強制的な電力需要抑制策に向けた動きを加速させたとみることができます。
さて、東日本大震災・津波は、東京電力福島第一原子力発電所の事故を引き起こしたこともあり、国民のエネルギーに関する意識を急速に変化させました。
特に、発電用エネルギー源を何に依るべきかという点において国民は、低炭素社会の実現を目標としつつ、原子力にどこまで依存すべきか再考を迫られています。
ここで、NHKが昨年8月に実施した「原発とエネルギーに関する意識調査」と題する世論調査の結果を改めて見てみることとします。
当時は、各電力会社等がHP上の「でんき予報」にて、ほぼリアルタイムで電力使用状況を公表、時に需給ギャップが限界に接近するなど、ハラハラ・ドキドキさせられた記憶が残っています。
先ずは、こちら をクリックして、「調査結果の概要その1」をご覧ください。
「国の原発に関する安全管理をあまり又は全く信用しておらず(合計72.8%)、また、福島第一原発以外の原発でも、付近の住民が避難するような事故が起きる不安を多いに感じる又はある程度感じている(合計85.8%)ため、将来的には、原子力発電所の数を減らすべき若しくは全廃すべき(合計76.5%)」との相関結果を見て取れます。
因みに、本調査の実施時期は2011年8月12日〜14日でしたので、当時は管内閣。
支持率は僅か18%、不支持率はなんと65%にも達していました。 9月2日より現野田内閣が発足し当初の支持率は60%と高く、不支持率は18%に過ぎませんでした。
それが、今や状況は大きく逆転。 末期の管内閣の状況に似てきています。
国民の意識や期待を置き去りにし、ギャップやズレを積極的な対話で修復しようと試みることの少ない政権運営がこの結果を招いているのかもしれません。
さて、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度が7月に始まるのを前に、経済産業省の調達価格等算定委員会は25日、電力会社による買い取り価格の委員長案をまとめ、公表しました。
1キロ・ワット時当たり太陽光が42円、風力が23.1円、地熱が27.3円など、発電する業界の要望を原則として認め、27日にも最終的な意見書をとりまとめ、枝野経産相が関係閣僚と協議して価格を最終決定する段取りです。
委員長案に発電側の要望が大幅に取り入れられたことで、再生可能エネルギーの普及に弾みがつきそうな反面、電力会社が高値で買い取ることになるため、消費者が支払う電気料金の値上がりにつながる可能性が指摘されています。
皆さんは心情的な部分も含め、どの程度ならば値上幅を許容できますか・・・?
こちら をクリックして、「調査結果の概要その2」をご覧ください。
「月額で2,000円程度までであればやむを得ないとする方は多く(合計68.0%)、よって電気料金の値上げに繋がったとしても原発に頼らない(減らすべき:52.5%)、また同時に不便になったとしても電気使用量を抑えて生活したい(47.3%)」との一定の相関結果が現われています。
尚、計画停電が実施された場合、4人に3人が、「非常に又はある程度困る」としており、この数値は今でもあまり変わってはいないでしょう。
最後に、冒頭の問いかけについてです。
「国民はその先の何を期待しているのか・・・?」
ここで「脱原発」と言うつもりはありません。 原発問題に関しては国民の意識を十分に踏まえた上で、より高度な次元で積極的な議論がなされ、然るべき方向性や結論が迅速に導き出されることを期待しています。
では、何か・・・?
それは、「国民との相互信頼関係を礎とした政治であり、国民の安全と繁栄を第一に考える国家戦略の策定とその完遂」なのではないでしょうか。
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