2011. 11. 14 Monday
≪『近年の当たり年である2009年に匹敵する出来』・・・今年のボジョレー≫
毎年11月第3木曜日に解禁される、特産品の新酒「ボジョレー・ヌヴォー」・・・。
ご存知の様に今年は、17 日です。
かつてはその年のブドウの出来栄えをチェックすることを主な目的としたもので、ワイン業者が主な顧客でしたが、その後、解禁日をイベントとして盛り上げ、新酒として大々的に売り出す戦略が確立、現在に至っています。
「ボジョレー」と名乗ることのできるワインは赤ワインであればガメ(またはガメイ、gamay)種、白ワインであればシャルドネ(chardonnay)種を使用したものに限られ、これらはアペラシオン・ドリジーヌ・コントロレ(AOC)によって定められている、とのことです。
尚、白ワインは全体の生産量の1%に過ぎないと言われています。
( 出所: 日本美食学会 )
私は、ボジョレーの大家(たいか)ではありませんので、蘊蓄(うんちく)はその道のプロにお任せするとして、ここでは、1995年からの各年のボジョレーの評価を披露したいと思います。
(様々な評価があり、全て正しいということではございません旨、ご了承ください)
95年「ここ数年で一番出来が良い」
96年「10年に1度の逸品」
97年「1976年以来の品質」
98年「10年に1度の当たり年」
99年「品質は昨年より良い」
00年「出来は上々で申し分の無い仕上がり」
01年「ここ10年で最高」
02年「過去10年で最高と言われた01年を上回る出来栄え」「1995年以来の出来」
03年「100年に1度の出来」「近年にない良い出来」
04年「香りが強く中々の出来栄え」
05年「ここ数年で最高」
06年「昨年同様良い出来栄え」
07年「柔らかく果実味が豊かで上質な味わい」
08年「豊かな果実味と程よい酸味が調和した味」
09年「50年に1度の出来栄え」
10年 「今年は天候が良かった為、昨年並みの仕上がり。爽やかでバランスが良い」
ざっと読んだだけでは、果たしてどの年が最も素晴らしい出来であったのかを判別するのは難しいですね・・・。
2003年は「100年に1度の出来」としていますので、なるほどと思えば、2005年には「ここ数年で最高」とされており、また、2006年は「昨年同様良い出来栄え」となっていて、そうなんだと思って、更に目線を下げると、2009年は「50年に1度の出来栄え」と評価されています。
そして、11年は、「近年の当たり年である2009年に匹敵する出来」とされています・・・?????
年を経る毎に出来が良くなっている印象を受けますね!!!
一方で、日本の輸入量は2004年をピークに減少傾向にあるようで、流通業者の販売戦略としての「巧みなメッセージ」に乗せられてしまっているのかもしれません。
まっ、「百聞は一飲に過ぎず」です。
今年のボジョレーも堪能してみましょう。
ところで、AFP通信は「世界遺産の仏ワインの町サンテミリオン、財政悪化で中世建築を売却」と題する記事を発信しました。(11月14日)
記事を引用させて頂くと・・・、
「国連教育科学文化機関(ユネスコ、UNESCO)の世界遺産(World Heritage)に登録された仏南西部サンテミリオン(Saint
Emilion)の市長が、市の赤字返済のために同市の中世建築を売り払ったことを聞いたとき、住民は衝撃を受けた。」
「市議会もこの売却を、歴史地区の保存のために必要な資金を調達する手段として支持したものの、今後の資金調達については戦略を再検討し、別の方策を考案することを約束した。」
「売却されたのは、スパークリングワイン製造元が使っていた14世紀のコルドリエ修道院(Cordeliers cloister)。 売却について、国有建造物の設計家でボルドー(Bordeaux)とサンテミリオンを管轄するフランソワ・ゴンドラン(Francois Gondran)氏は、『サンテミリオンには貴重な中世建築があるが、多くの作業が必要で、市にはそれをまかなう資金がない』と説明した。」
とのことです。
ボルドーから40分の距離にあるワインで有名な中世の町、サンテミリオンは、ブドウ園の景観が評価され、1999年にユネスコ世界遺産に登録されました。
ローマ人が初めてブドウの木を持ち込んだのが紀元前27年。
8世紀にはブルトン人修道士が裕福な修道会を説得し、この地に教会や修道院、地下墓地、女子修道院が建設され、このコルドリエ修道院は今では、人混みを逃れた観光客たちがほっと一息つくことのできる場所となっていると言われています。
【 Saint Emilion 】
( 出所: 世界遺産ガイド )
さて、欧州の一部の国々、米国、そして我が国など先進国の財政事情には厳しいものがあります。
また、それらが投機の材料とされ金融市場、引いては経済情勢も決して安定的と言うには程遠い状態をもたらしていることも事実です。
キリシャ救済の過程では、ミコノス島やロードス島など、同国の根幹を形成する財産を売却し財政を建て直すべしなどとの画期的な意見も出されていました。
民間企業であれば、体質改善や体力強化を目的として、「価値のある財産を価値のある間に、適正な価格で処分しキャッシュ・フローを整える」などといった再生手法は、一般的で且つ関係当事者が納得し易い対処の仕方です。
しかしながら、今や「世界遺産」ですら「背に腹は変えられず」、売却対象となってしまう・・・そんな、世の中・・・。
なんとも、物悲しい歴史の一場面です・・・。
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