2011. 11. 5 Saturday
≪創業200年以上を誇る会社は世界に約5,000社。その60%が本邦企業!≫
11月4日に日本経済大学の主催する「第3回老舗企業復興シンポジウム」が開かれました。 米シカゴに本社を置く「Family Business Consulting
Group」の Drew Mendoza 氏が来日され、「長寿企業大国日本の秘密:海外の視点」と題する特別講演が行われるなど大盛況でした。
同氏によると、約3,000社の「長寿企業」について、「Practically all are family busineses」とのことでした。
尚、「Family Business」の定義ですが、本コラムでは『同族企業』との解釈が最も妥当と考え、進めて行きます。
先ず、視聴者の注目を集めたクイズを披露します。
During the time period, 1896-1996
A) How many businesses on the DJIA survived ?
B) How many family businesses would have survived assuming we began with
100 family businesse ?
解答は後ほど・・・。
ここで、Mendoza氏ご指摘の本邦の長寿企業の特徴等を列挙してみると・・・。
・顧客、従業員そしてコミュニティーへの献身姿勢。
・身の丈に合った会社規模。
・保守的(成長のコントロール、内部留保重視、投機の排除)。
・世代を超えて引継いできた知的財産及びスキルを活かすニッチ・プレーヤー。
・ビジネスの究極目標は、利益(Profit)よりも継続(Continuity)。
等とされていました。
まとめると、「決して無理(背伸び)をした経営は行わず、ステークホールダーズとの関係を重視しながら、勝てる土俵で確実に勝ち続ける」といったスタンスでしょうか・・・。
ところで、帝国データバンクは、8月4日に「震災・戦争を生き抜いた『老舗企業』、全国に2 万5,000社」と題して、老舗企業に関する実体調査の結果を公表しています。
同レポートによると、明治末年にあたる1912年までに創業した「老舗企業」(個人営業、各種法人含む)は、2011年7月末時点で全国に2 万4,847社あることが判明した、とのことです。
主な老舗企業上位3社は、1位が「金剛組」(大阪府、創業西暦578年)、2位は「池坊華道会」(京都府、同587年)、3位は「西山温泉慶雲舘」(山梨県、同705年)となっています。 因みに、上位7社の社歴は、1,000年以上の時を経ているのです。
尚、今回の大震災で被災した岩手、宮城、福島の東北3 県において、1912年までに創業した「老舗企業」は1,368社。 このうち「被害甚大地域」にも97社の存在が認められています。
創業が確認できたうち最古の企業は、岩手県北上市の秘湯にある「夏油温泉」で西暦1134年(長承3年)。 同社は全国で9番目、東北全体では最も古いとのこと。 次いで、宮城県仙台市・秋保温泉にある「ホテル佐勘」で西暦1184 年(寿永3年)。
また、太平洋沿岸部の「被害甚大地域」では、「八木澤商店」の西暦1807年(文化4年)が最も古かったとこことです。
ここで、「第3回老舗企業復興シンポジウム」に戻りますと、特別講演の第二部では、その「株式会社八木澤商店」の9代目である河野通洋代表取締役が、「大震災で失ったものと得たもの-復興に向けた想い-」を熱く語ってくれました。
津波が、会社を家をそして街を丸ごと飲み込んでいった時の姿や、その直後から冷静にそして迅速に前向きに歩み始めた時の状況を画像を交えながらのプレゼンでした。
そして現在、河野社長はじめ陸前高田市の企業経営者らは、復興事業を展開する新会社「なつかしい未来創造株式会社」(社長・田村満高田自動車学校社長)を設立、民間の力で自然エネルギーの活用や伝統産業を生かした雇用・新産業の創出を目指し、新たな「まちづくり」に取り組み始めています。
ユニークなのは、コミュニティー・カンパニーと呼ばれる会社形態です。
10年間の期限付きの会社形態で、株主は利益よりも「まちづくり」に関わるために参画。 将来、公共性が高いものは自治体に、事業性があるものはそれぞれが独立して起業する仕組みで、いわば新たな会社を生み出し、役目を終えるのが目的となっているのです。
河野社長は主体的にこのプロジェクトに携わっておられるとのことでしたが、本日の講演で全面に溢れていた「信念・情熱・人を大切にする心」を持ってすれば、必ずや近未来に見間違える程に素晴らしい陸前高田市として復活を遂げるものと確信しています。
さて、冒頭のクイズの解答ですが、
先ず、 A)は、何とたったの1社です。 唯一存続できた会社は「GE」。
B)は、約4社とのことで、同族企業が勝っていますが、確率はかなり低いものです。
東日本大震災という未曾有の災害に各企業が直面する今、関東大震災や太平洋戦争時の大空襲など、数々の修羅場をくぐり抜けてきた本邦の老舗企業に改めて注目が集まっています。
この地球上に生命が誕生してから、種(しゅ)は「進化と絶滅」を繰り返してきましたが、ただ一つ確かなことは、「その時代に最強であったものが必ずしも繁栄を続けることができたわけではなく、時代(環境)の変化に柔軟に対応し得たもののみが、それを継承することができた」という事実でしょう。
変化と不変は相反するものではなく、変化への適宜の適切な対処こそが不変、即ち『安定』を実現させる術であることを、改めて認識すべき時代なのかもしれません。
〈ご参考コラム〉
2010.12. 6≪グローバル企業としては異例の3代世襲・・・サムスングループ≫
〈ご参考〉
日本経済大学 東京渋谷キャンパス HP
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