2011. 2. 6 Sunday
≪TPP参加への試金石・・・日豪EPA交渉≫
日豪両国政府は明日から、経済連携協定(EPA)締結に向けた事務レベル会合を都内で開催させます。 牛肉・小麦・米・砂糖・乳製品等・・・豪州が完全撤廃を求める「関心品目」と日本が守りたい「重要品目」が一致しているのも事実です。
豪州は、環太平洋連携協定(TPP)の交渉参加国でもあり、2国間EPAに妥結のめどを付けられるか・・・。 農業問題を抱える日本のTPP参加を占う試金石ともなりそうです。
海江田万里経産相は、「EPAが解決できないとTPPはもっと難しい話になる」と述べ、日豪EPA妥結に意欲を示しています。
日本の食料自給率は約40%と言われており、豪州の237%とは大きな隔たりがあります。 因みに、米国は128%・フランスが122%・英国は70%。
日豪のEPA発効により関税が撤廃されれば、大量の食料品が流れ込んでくる可能性が高まる為、40%の食料自給率は12%程度まで大きく落ち込んでしまう等との算定もなされています。
関税が撤廃され廉価農産物等の輸入増加の影響で食料品等の価格が下がり、食卓にもたらされる恩恵は大きいとも言われますが、新興国における富裕所得者層の急激な増加による将来的な供給不足、異常気象や自然災害による食料品価格の不安定化等の懸念を払拭し切れず、また農家個別補償問題も相俟って、統一的な見解を見出しずらい事態が続いているのです。
ところで、豪州からの輸入を品目別に上位から列記してみると・・・、
石炭(29.6%)、金属鉱(22.1%)、天然ガス(15.6%)、非鉄金属(7.1%) そして牛肉等肉類となっており、その割合は6.3%となっています(2007年の数値。
北海道農政部農政課22年4月公表資料)。
昨年、中国が「レアアース(希土類)」を武器に、強気の外交姿勢を見せつけたことは記憶に新しいところですが、新興国の著しい経済成長や先進国の景気回復期待感等から、世界的な資源獲得競争が激化しています。
日本にとって豪州は、石炭や鉄鉱石など天然資源の安定供給先として重要な国であり、また今般事務レベル会合をTPP参加への第1歩と位置付けるならば、真に有意義な議論・交渉を行い国民全体の利益を総合的に勘案の上、前向きな方向性を見出して頂きたいと考えます。
1月15日付けのコラムでも触れましたが、TPPへの参加は単なる経済的重要性を超えた政治的重要性を内包しており、わが国とも関係が深い環太平洋の多くの重要国が環太平洋の秩序づくり・ルール設定を展望していることが背景にあり、その試金石となることが確実視されているからです。
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