2011. 2. 19 Saturday
≪未公開株や社債のあやしい儲け話・・・急増中≫
PIO-NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)によると、全国の消費生活センターには、未公開株や社債に関する相談が、過去最高であった昨年度(2009年度)の相談件数を大きく上回るペースで寄せられている。
当該支払金額の合計額は、2010年度(2011年1月31日現在)には、約283 億円にも上っています。
独立行政法人国民生活センターが17日に公表した「絶対に耳を貸さない、手を出さない! 未公開株や社債のあやしい儲け話」と題する資料の要点を挙げると以下の通りです。
・未公開株に関する相談はは6,005件で2009年度同時期(3,859 件)の約1.6 倍。 社債のそれは4,011件で2009年度同時期(620件)の約6.5倍。
・勧誘のきっかけとしては、電話勧誘販売が6,306件(63%)ともっとも多く、次いでダイレクトメール等の通信販売が1,209件(12%)、訪問販売が824件(8%)。
・消費者が既に金銭を支払ってしまったことが明らかな相談は2010年度で約半数(3,561件)あり、このうち支払金額が1,000万円以上のケースは808件。
・こうした支払金額の合計額をみると、2010年度は約283億円であり、2001年度以降の累計では860億円に達する。
・過去に未公開株や社債のほか、商品デリバティブ取引、ファンドなどの投資被害にあった消費者をねらった「二次被害」や、消費生活センターや金融庁などの公的機関や実在する証券会社をかたった「かたり商法」の手口が増加中。
また、最近特に注目すべき手口として「劇場型」のトラブルが2009年1月頃から急増してきている、とも指摘されています。
「劇場型」の手口とは・・・。
「同一業者が“一人二役”を演じたり、業者間同士で連携したりして、業者間で役割分担を決めてカモ(消費者)をはめ込む手口・・・」等と言われています。
例えば、「過去に購入した未公開株や社債を高値で買取ると言われ、予め多額の手数料を支払ったものの、間もなく買取業者と連絡がつかなくなった」等といったものが最も単純なケースです。
未公開株に関しては、2005年度にその相談件数が急増(2,981件)し、前年度比約6.7倍になったわけですが、それでもまだ当時の相談内容は「未公開株を購入したが、説明どおりに上場しない」や「業者と連絡がとれない」等と(あえて善意に解釈すれば)一応真に株式の上場に関連していた等と考えられる事例も少なくないようです。
ここ数年IPOが冷え込んでいたことは周知の事実ですが、ここで過去のIPOの動向を具体的にみてみましょう。 こちらは、野村証券公表の「新規上場会社数の推移1989年(平成元年)以降」というデータです。
IPOの件数が2006年を境に激減してきた様子がうかがえます。 説明するまでもなく、2007年にはサブプライムショックが、翌2008年にはリーマンショックが勃発したことが背景にあります。
最近でこそ株式市場には一定の活況が戻ってきていますが、IPOにとって、それまでの数年間は氷河期時代であったと考えられ、事実としてIPOの延期や断念を余儀なくされた企業も数多く存在していました。
その様な時代の流れが巧みに利用された近年の「劇場型(つまり、お芝居)」手口の詐欺ですが、(金融)消費者側も「少しでもお金を増やしたい」とか「少しでも過去の損を取り戻したい」等といった心理が悪徳業者につけ入る隙を与えているということも改めて認識しておきたいところです。
〈ご参考〉
国民生活センター HP
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