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2011. 2. 26 Saturday
≪国の資金繰りに火がついた・・・?≫

2011年度予算関連法案のうち赤字国債を発行する特例公債法案に公明党や社民党が反対することになり、3月末までの年度内成立が難しい情勢になっています。 その場合、同年度予算案の一般会計総額92.4兆円のうち、赤字国債で賄う38.2兆円と、基礎年金の国庫負担分の一部確保2.5兆円の計40.7兆円(予算の4割強)が執行できなくなる恐れがあります。

4月以降も当面成立しない場合、予算総則で最大20兆円の発行枠が定められている政府短期証券(FB)を発行して6月まで資金が確保できるとされていますが、一方で特例公債法案が通るめどがなければ、償還できなくなる可能性があり「デフォルト(債務不履行)するものは出せない」(財務省幹部)としてFBの発行すら困難、との見方も出ています。


ところで、財務省は25日に「日本の財政関係資料に関する平成23年度予算(政府案)補足資料」を公表しました。 その中で、「我が国財政を家計にたとえたら」として、平成23年度一般会計の現状を数値的に理解し易いように表現しています。

具体的には・・・、
1世帯月収(税収・税外収入)40万円の家計が、毎月必要経費(一般会計歳出)として77万円を支出していることになり(内訳は、家計費(基礎的財政収支対象経費)が59万円、ローンの元利金(国債費)支払が18万円)、従って家計の不足額(赤字額)は37万円となります。 それを新たな借金(公債金収入)でまかなっている状況です。

・そして、不足額を補うために行った借金の過去からの累積額(公債残高)は、既に6,661万円に達してしまっているというものです。
因みに、現実的な数字ですが、公債金収入の額は44.3兆円、公債残高は668兆円となっています。


本資料に関して、他の注目すべき点を挙げておきます。

・一般会計歳出は昭和50年度以降、大よそ一貫して右肩上がりで、平成23年度の92.4兆円は昭和50年度の約4.4倍。 一般会計税収はバブル崩壊直後の平成2年度まで堅調に伸びたものの、その後は減少傾向に転じ、平成23年度のそれは昭和50年度比では約3倍の40.1兆円にとどまっています。

・平成2年度には発行額がゼロとなった特例公債ですが、平成6年度には4.1兆円で復活することとなりました。 当時は、公債発行額に占める特例公債の割合は25%程度に過ぎませんでしたが、近年ではその割合はなんと約86%に達しています。


そして、将来の財政について最もその危機的状況を示唆するものとして・・・「利払費と公債残高の推移と状況」について触れておきます。

・昭和50年代に概ね7%台で推移していた市場金利は、60年代に入ると「プラザ合意」を受けた急激な円高の進行を抑制するため日銀は金融緩和政策を発動し伴って金利水準は6%台へと、そして株式や不動産市場等のバブル崩壊後の平成初期の頃は5%台へと低下して行きました。

・公債残高の増加を反映して利払費は昭和50年度の8,000億円から増加、昭和61年度には10.2兆円と初の10兆円超を記録することになりました。 平成に入ってからも着実に公債残高は増え続け平成11年度には300兆円を突破しています。

・その一方で、市場金利は長期に亘る景気低迷等を背景に低下傾向を強め、11年度のそれは3.1%、15年度には2.0%を割り込み、17以降は1.4%にて横ばいとなりました。

・公債残高は年度を経るに従い増加の一途を辿っているわけですが、市場金利の低下が利払費の拡大には抑制的な役割を果たしてきたことを見てとれます。 昭和61年度以降、概ね10兆円で安定的に推移してきたその額は、平成13年度には16年振りに10兆円を割り込み9.4兆円となったのです。 平成17年度には7.0兆円にまで減少しています。

さて、問題はここからです。

・平成17年度が大きな分岐点となりました。 同年度以降金利水準は1.4%と低位で安定していますが、同年度に7.0兆円まで減少した利払費は翌年度こそ同じく7.0兆円にとどまったものの、近年の公債残高の急激な増加の影響で、19年度以降は増加に転じ、23年度のそれは9.9兆円と見込まれるに至っています。

・金利水準の絶対値からして今後大きな低下を見込み難い中、公債残高の増加が利払費を更に膨らませてしまう状態が発生し始めているのです。 借金を返すために新たに借入を続け、これまでは金利低下の恩恵で利息の支払い額をさほど意識する必要もなかった状態が一転し、借入利息の増加を相当程度に考慮せざるを得ないレベルまで事態は悪化していると言えます。

茲許、産地の天候不順、経済成長を続ける新興国の食料需要の増加、投機マネーの流入などが重なり穀物や食料品の価格が世界的に上昇しています。 また、金・銀に代表される天然資源に加え、中東情勢の不透明感が払拭されない中、原油価格も急騰を演じています。

世界レベルでは一段のインフレを意識せざるを得ない状況と言えます。

歴史的水準にある円高とデフレ感覚に浸りきってしまった鈍い国内消費需要の低迷が、物価の上昇に一定の歯止めをかけていますが、そのきっかけが何であったとしても金利水準の一段の上昇は公債利払費の加速度的な増加をもたらし、国家財政を更に窮地に追い込む危機的な状態に至っていることを忘れてならないのです。


〈ご参考〉
財務省 HP


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