2011. 8. 8 Monday
≪恒例の「危ない会社300社リスト」!≫
経営に問題がある企業を実名で公表、経営実態を明かすセミナーがこのほど都内で開かれました。
銀行や商社の審査担当者らが多数出席、配布された「危ない企業300社リスト」を食い入るように見つめていました。
セミナーを主催したのは、企業に深く食い込んで情報を取ることで知られる信用調査会社「東京経済株式会社」。 同社は毎年2回(2月・8月)セミナーを開催、毎回危ない会社300社を実名公表し、その全てについてかなり突っ込んだ内容の寸評を加えて行くことで知られています。
因みに、前回公表された300社の内、既に破綻した会社は19社。 昨年8月にリストアップされた会社の内、31社が破綻してしまったとのことです。
尚、昨年夏のリストには、中小企業向け融資と一般客の定期預金専門の「日本振興銀行」、家庭用機器メーカー「シルバー精工」などが含まれており、いずれも破綻しています。
また、前回のリストには甘味料のトレハロースで知られるバイオ関連企業「林原」、和洋紙卸「西崎紙販売」など(いずれも破綻)が含まれていました。
リストはA4判10枚つづり。 企業名、所在地、業種、年商、主力銀行などが記され、右端にはA~Jのアルファベットが付されています。 Aは「資金面変調」、Bは「人事変動」、Cは「企業体質・不祥事」、Dは「取引先動向変化」、Eは「過剰債務」…を意味し、経営上の問題点がひと目で分かるようになっています。
今般のリストには、東証1部上場の9社を含め、上場会社だけで38社を占めています。
具体的に幾つかのコメントを紹介すると・・・。
A社(東証1部)
「9月のシンジケートローン更新につまずく恐れも。
みずほコーポレート銀行の建設セクター担当常務に同社出向歴があることから特別扱いを受けてきたが、通期赤字なら論外。 黒字でも受注計画に全く届かないようなら支援取り消しも。」
B社(東証1部)
「個人株主監禁脅迫問題が反社組織絡みの刑事事件に発展する可能性も。」
C社(東証1部)
「大東建託との提携効果ゼロ。 大東建託OBの副社長は平取締役に転じた。 過小資本解消に新たなスポンサー探しが必要な場面。」
D社(東証マザーズ)
「金融債務470億円に達し、既に債務不履行を起こした。 再生エネルギー特措法成立で追い風が吹くだろうが、そこまで踏ん張れるかどうかが注目。」
E社(大証1部)
「経営トップのワンマン経営が機能不全を起こしている。
関西の名門で投資有価証券の一部しか担保に入っていないが、銀行側も、このまま放置できず、どこで追加担保を求めてくるか。」
等々・・・。
さて、株式会社東京商工リサーチは、本日「2011年(平成23年)7月度 全国企業倒産状況」を公表しました。 倒産件数は1,081件、負債総額は2,209億1,200万円。
資料によると「倒産件数は3カ月連続で前年同月を上回り、7月の「震災関連」倒産は68件」で、「震災関連」倒産は7月末までに累計243件に達した。 阪神・淡路大震災では、震災発生から5カ月間で関連倒産が累計76件だったのに対して、3倍増のペースで推移している。」としています。
地区別倒産件数では、9地区の内、5地区で前年同月を上回ったとのことで、増加率順に中国23.6%増(38→47件)、九州13.6%増(73→83件)、近畿4.7%増(272→285件)、北陸4.7%増(21→22件)、関東2.2%増(401→410件)となっています。
これに対し減少は、東北22.4%減(58→45件)、北海道12.8%減(39→34件)、中部6.0%減(133→125件)、四国3.2%減(31→30件9の4地区でした。
意外と関西以西が増加している点が、気に掛ります。
さて、そこに加えて、S&Pによる米国債格付け引き下げを受けた株式市場の大混乱・・・。
本日の日経平均株価は一時9,000円を割込み、前日比約2%安の9,097.56円で大引けとなってしました。
無論、アジアの他、欧米の各株式市場も崩落をみせています。
先日の政府・日銀による約4.5兆円を注ぎ込んだドル買い介入や同時に決定された日銀の追加緩和・・・これらの効力が一挙にかすんでしまいそうです。
また、何よりも怖いのが、東日本大震災や原発問題等を少なからず消化しつつ上向きの兆候を見せ始めた「消費者の心が、再び萎縮してしまう」ことでしょう。
あまりに間(Timing)の悪い、「米国債格下げ」事件でした。
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