2011. 7. 8 Friday
≪大震災便乗型の悪質手口、依然続く≫
3月11日に発生した「東日本大震災」から、まもなく4ヶ月になろうとしています。
国民生活センターは、その間に寄せられた消費生活相談情報について、時期別・地域別でどのような特徴があるのか等を中心に取り纏め、結果を公表しました。
弱者の心の隙間(すきま)を突いた悪質な手口は、跡を絶たない模様です。
同センターは、「PIO-NETにて、東日本大震災当日から震災関連の相談が全国から寄せられ、6月10日までの3カ月間で17,093件となっている」としています。
こちらは、地域が不明・無回答の367件を除いた16,726件を、受付日別におおよそ10日単位で9期間に区切って、地域別にその推移を表した図です。
(出所: 国民生活センター)
時期別の相談件数は震災発生から日が浅い3月の相談件数が多かったものの、4月に入ると件数は3月対比で半減、5月は更にその半分程度になっています。
また、それを地域別で消費生活相談全体に占める割合にて示したものがこちらの図です。
(出所: 国民生活センター)
震災発生から1カ月が過ぎた4月中旬になると、被災地4県を除く地域では、震災関連の相談は1割に満たないようになり、それ以降ほぼ横ばいで推移しています。
一方、被災地4県は時間の経過とともに緩やかに割合は小さくなってきているものの、未だ相談全体の3分の1を占めています。
震災に関連する相談であるため、全てを「悪質な勧誘」等と決めつけることはできませんが、大よその傾向を窺い知ることはできるでしょう。
尚、同センターは震災から約2週間が経過した3月28日に、「消費生活相談情報(第1報)を公表しています。 それ以降から今次の公表において、「主な相談事例」を幾つも掲載しています。
興味深いものを列記してみると・・・。
・地震で屋根瓦10枚が落下した。 男性が訪ねて来て、「補修工事をしてあげる」というので「見積もりを出してほしい」と依頼したら、「それはできない。
修理は約20万円かかる」といわれた。 不審である。
・宗教団体を名乗る見知らぬ団体から、「震災の義援金を振り込むように」という電話があった。 全く知らないところからだったので、電話機に表示された電話番号にかけなおしてみたところ、現在使用されていないというアナウンスが流れた。
・インターネット通販でミネラルウォーターを注文したが、申し込み時の画面に表示されていた業者の住所と発送業者の住所が違うことが後日わかった。 不審に思い、電話で解約を申し出ようとしたが、「震災の影響で電話の受付はしていない」と録音が流れるだけで連絡が取れず、メールでの申し出には返信がない。
・「震災後、近所の家を点検して回っている」と、自宅を訪問してきた業者に「屋根瓦がずれているから、直したほうがいい」といわれ、契約してしまった。
しかし、自分で屋根に上がってみると、瓦はずれておらず、一部の釘が浮いている程度だった。 クーリング・オフしたい。
・古物商を名乗る業者から、「被災地の医療器具に使う金・銀が不足しているため、ネックレスなどの貴金属アクセサリー類を買い取りたい」と電話があった。
業者名や古物商の許可番号等を聞いたら渋々答えたが、本当に医療用に使われるかもわからず、不審。
・「震災に伴い、政府事業で被災地の人工透析患者救済のため、100万円を投資すれば、年4%の利子と、3カ月に1回1万円を支払うという制度ができた。
明日、あなたの家にお伺いして説明したい」との電話があったが、不審。
・震災後、「あなたの居住地での放射線量の数値が上がっている」等という内容のメールがきて「除去する方法はこちらから」といった文言をクリックしたら、出会い系サイトの登録画面につながった。
それをきっかけに、迷惑メールが1日に100通以上くるようになったので、対処法を知りたい。
・震災の影響で失業中のため、副業サイトを検索していた。 「返信してくれたら1500万円をあげる」というメールが届き、返信。 サイトに登録したところ、アドレス交換費用や回線をつなぐ費用等を請求され、200万円近く支払ったがお金はもらえず、だまされたと思う。
返金してほしい。
・被災地からきた」と言い、みかんの販売業者が自宅に訪ねてきた。 試食して、友人と1箱2kg分4,000円を半分ずつ買うことにして支払うと、「計算もできないのか。
14,000円だ」とすごまれた。
・金の買い取りをしているという業者が訪れ、「買い取ってもらうような金は持っていない」と断り続けたところ、「まったくアクセサリーがないのか。 震災の影響で金が不足して日本中が、困っているのに協力できないのか」と脅された。
以上の様に、稚拙ではあるものの、「震災」の文言を巧み(?)に用い心理面での不安定な状況を突いた、悪質な手口といえます。
尚、同センターによると、震災発生以降の3ケ月間に北海道・東北で受付けた相談について上位商品をまとめると、発生当初に相談が集中した「ガソリン」が突出(455件、36.6%)しており、「ガソリン」と同じく品不足であった「灯油」が2位(93件、75%)にきている点がこの地域の特徴である等ともしています。
さて、こちらをクリックすると、国民生活センターの資料をベースに弊社が作成した「主な商品・サービスの比率の推移」を被災地4県と関東に区分けした資料をご覧頂けます。
要点を列記すると・・・。
・「不動産賃借」「工事・建築」など居住に関する相談の比率が恒常的に高い。
・被災地4県では、「フリーローン・サラ金」「火災保険」「給油システム」等、足元をみられた手口が上昇基調にあり、十分な注意が必要。
・関東では、巷での出来事や世相が反映された商品が目立つ。
具体的には、3月後半と5月後半の「電気」(計画停電等を反映)、一定の割合を保つ「ミネラルウオーター」「野菜」(原発事故等を反映)、そして5月中旬に突如高い数値を示した「緑茶」(関東の一部の県が「荒茶」の放射能検査を拒絶したこと等を反映)。
・関東では、「デジタルコンテンツ」(震災に関する情報をきっかけにして出会い系サイトに誘導されるといったような類のもの)が、一定割合を占める。
以上の状況等を踏まえ、国民生活センターは、
「全体の件数は落ち着いてきているが、とくに被災地以外では、たとえば被災地への支援の心情を利用した、また放射能への不安に付け込んだ等の、震災に便乗して勧誘する商法の相談が目立つようになってきたので、注意が必要である。」
等として注意を呼び掛けています。
尚、国民生活センター等が受付けた件数は、おそらく「氷山の一角」でしょう・・・。
お気を付けあれ !!!
〈ご参考〉
国民生活センター HP
|