2012. 9. 23 Sunday
≪「コンゴ・フラン」の取扱い急増中 ! ≫
と言っても、FXの話しではありません。
国民生活センターによると、今年に入ってから、「コンゴ・フラン」の他、「シリア・ポンド」「ウズベキスタン・スム」など一般投資家には全く馴染みの薄い外国通貨に関するトラブルが増えてきているとのこと。
同センターは、2010年度以降、日本国内では換金が困難な「イラク・ディナール」「スーダン・ポンド」「アフガニスタン・アフガニ」「リビア・ディナール」「ベトナム・ドン」の取引について、複数回、注意喚起を行ってきていました。
その効果の現れか、それらの通貨に関するトラブルは昨年末をピークにやや沈静化しつつある模様ですが、そこは敵もさる者、取扱い通貨や手口を巧妙に変えて取引(?)を推進してきているのです。
こちら をクリックして、「各通貨の相談件数推移」をご覧ください。
ところで、そもそも「コンゴ・フラン」等の通貨は実在しているのか・・・。 調べてみると・・・。
「コンゴ・フラン」(コンゴ民主共和国)
かつてベルギー統治下、ベルギー・フランと等価であるコンゴ・フランが用いられ、独立後も1967年まで使用されていた。 1967年には、1ザイール=1000フランのレートで、ザイールが導入された。 その後、1997年になると、再び「コンゴ・フラン」が導入され現在に至る。
「シリア・ポンド」(シリア・アラブ共和国)
第一次世界大戦まではこの地域はオスマン帝国領だったため、「トルコ・リラ」が使用されていた。 大戦中にイギリスに占領されると「エジプト・ポンド」が流通したが、大戦後にフランスの委任統治領となり、この「シリア・ポンド」の発行が始まった。
「ウズベキスタン・スム」(ウズベキスタン共和国)
旧ソビエト連邦時代、カザフ、キルギス、ウズベクではソ連の通貨であったルーブルはスムと呼ばれていた。
ソ連崩壊後も旧ソ連諸国の多くはルーブルを使用し続けていたが、1993年7月26日にロシアが新ルーブルを発行したのを機に、同国は独自通貨「ウズベキスタン・スム」を発行し始めた。
確かに実在しています。
さて、トラブルの原因となる手口ですが、高齢者等に対して劇場型勧誘(注)が行われ、更には過去に投資トラブルにあった消費者に「以前購入した未公開株を買い取る代わりに外国通貨を購入してほしい」と持ちかけ、代金をだまし取る二次被害のケースも見られているようです。
(注)
A社が、B社の販売する商品・役務等を、購入額を上回る金額で買い取るなどという勧誘を行い、B社と契約するように仕向ける勧誘のこと。
では、具体的な事例を紹介しておきます。
= 事例 1. =
A社に「B社からコンゴ・フランのパンフレットが届いたら連絡してほしい」と電話で頼まれた。
後日、A社にパンフレットが届いたと伝えると「B社からコンゴ・フランを買うことができるのは個人だけだ。 当社の代わりにあなたが申し込んでくれないか。 高額なお礼をする」と言われた。
申し込むだけならと思い、B社に電話で1口10万円を50口購入すると申し込んだ。
後日、B社から電話があり、「あなたが申し込んだのにA社から代金が振り込まれている。 当社は会社とは取引しない。 あなたの名義で振り込んでほしい」と言われた。
A社に連絡したが後で支払うので、代わりに支払ってと言われた。 B社からの支払いの催促がしつこかったので仕方なく代金の一部として4回にわたり合計250万円を支払ってしまった。 その後、12,500コンゴ・フラン(500コンゴフラン紙幣25枚)が届いた。
その後もB社からの催促はやまず、A社に連絡しても「現物と引き換えにお金を支払う」と言いながら、いつになっても支払われない。
(契約者:50歳代 家事従事者 女性 長野県)
⇒ このケースでは、500コンゴ・フランを10万円で交換させられてしまっています。 通常の為替レート換算(2012年9月7日現在)では約43円のはずで、大よそ2,326倍もの法外な水準です。
= 事例2. =
未公開株や不良債権を買い取っているというA社から電話があり、「未公開株や不良債権を買い取る」と言われた。 持っている未公開株の銘柄を伝えると約2,500万円で買い取ると言う。 信用できると思い、書面で契約した。
その後、A社から「買い取りの条件としてウズベキスタン・スムを購入してもらう必要がある。
B社が1口10,000ウズベキスタン・スム(1,000ウズベキスタン・スム紙幣10枚セット)を10万円で販売している」と言われたので、言われるままにB社から1口購入したが買い取られなかった。
その後も次々と買い足し、合計60万円を支払ったが、買い取られなかった。 怪しいと思い、金融関係の相談窓口に相談したところ、だまされていると言われた。
(契約者:60歳代 給与生活者 男性 群馬県)
⇒ このケースでは、1,000ウズベキスタン・スムを1万円で交換させられてしまっています。 通常の為替レート換算(2012年9月7日現在)では約41円のはずで、大よそ244倍もの法外な水準です。
尚、コンゴ、シリア、イエメン、ウズベキスタンの通貨はイラク、スーダン、アフガニスタン、リビア通貨と同様に、日本国内のほとんどの銀行では両替できません。
また、ベトナム・ドンと異なり、空港等にある両替所でも両替が困難な通貨なのです。
残念ながら、被害に遭われた方々は、現地国に赴き使ってしまうより他はないのかもしれません・・・。
弊社の関連コラムにて再三述べている通り、「過去に未公開株や社債などの投資トラブルにあった消費者を再度ねらった勧誘が目立って」おり、恐らく『優良顧客リスト』に登録され、然るべき筋の間を転々としているものと推測されます。
更に、「多くの場合、代金を支払ってしまうと、連絡が取れなくなり、返金される可能性はまず皆無」です。
「業者の勧誘には一切耳を貸さず、勇気を持ってきっぱりと断る!」
・・・ 基本中の基本です。
世の中に、そんなに美味しい儲け話しはゴロゴロと転がってはいませんから・・・。
≪ ご参考コラム ≫
2011.10.
3≪Goldから「CO2排出権」へと、取引をシフト≫
2011. 7. 8≪大震災便乗型の悪質手口、依然続く≫
2011. 2.19≪未公開株や社債のあやしい儲け話・・・急増中≫
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