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2011. 3. 7 Monday
≪米・リビヤが国交を完全正常化・・・45日以内に≫

「米政府は15日、リビアを国務省の国際テロ支援国リストから45日以内に解除し、国交を完全正常化すると発表した。」・・・・・遡ること約5年。 当時(2006年5月15日)の読売新聞記事の冒頭部分です。 ライス国務長官(当時)は声明で「リビアはイランや北朝鮮の重要なモデルだ」と、核問題を抱える両国に対し、同様の「戦略的決定」に踏み切るよう促した等と報道されました。

要点が端的に記述されている読売新聞の記事は以下の通りです。

『米政府は15日、リビアを国務省の国際テロ支援国リストから45日以内に解除し、国交を完全正常化すると発表した。
米政府は決定理由として、リビアが2003年に核兵器計画とテロの放棄を表明し、その後も放棄を履行していることを挙げた。
ライス国務長官は声明で「リビアはイランや北朝鮮の重要なモデルだ」と、核問題を抱える両国に対し、同様の「戦略的決定」に踏み切るよう促した。

リビアは1979年に「テロ支援国」に指定されたが、88年にパンナム機爆破事件を引き起こすなどテロを繰り返すかたわら、核開発も進め、米国をはじめとする国際社会の非難を浴びてきた。 しかし、イラク戦争開戦後の03年末までに、リビアは核を含む大量破壊兵器計画とテロの放棄を表明、国際原子力機関(IAEA)の査察を全面的に受け入れるなど米政府との対話を継続しながら核放棄の履行に努めてきた。

決定について会見したウェルチ国務次官補は、リビアの米連絡事務所を大使館に格上げし、「完全な外交関係を樹立する」と述べた上で、決定の背景について「(核放棄の)意図より現実が重要だ」と、核放棄表明後のリビアの行動を高く評価した。 次官補はただ、人権などリビアの抱える他の懸念事項は依然残っていると指摘した。 テロ支援国指定の解除により、対リビア経済制裁が事実上、全面解除される。』

ところで、1990年代後半
において、米国政策担当者は北朝鮮、イラク、イラン、アフガニスタンそしてリビヤを「ならずもの国家(Rogue State)」と認識していました。 が、2001年10月からのアフガニスタン侵攻に伴い同国はそのリストから除外され、2003年3月からのアメリカを中心とした多国籍軍のイラク侵攻作戦によって、同国も同リストから外れました。

そんな中、リビアは外交交渉によって、現在では米国の「ならずもの」認定からは除外されたとみられています。

(
日本の外務省は「違法国家」、「無責任国家」と訳しています)

また、米国がフセイン政権を倒す必要があると決断するのとは対照的に、カダフィ大佐の残虐さが軽視されるようになったとされており、加えて米国と英国がイラク戦争を正当化する後付けの理由として、リビアによる大量破壊兵器の放棄が、イラク戦争後、中東が良い方向に変化したことを裏付ける証拠として、便利に用いられた等との指摘すらあります。


茲許、トニー・ブレア英元首相とカダフィ大佐とのこれまでの親密な関係が取り沙汰されています。

2004年には、ブレア首相(当時)がリビアを訪れ、カダフィ大佐を「対テロ戦争」のパートナーと持ち上げ、これに続いて英国企業がリビアに乗り込み、石油利権を巡る魅力的な契約を締結、その後更には軍事利権に直結するビジネスモデルを構築させたとも・・・。

今次の「中東地域民主化ドミノ現象」は、長期独裁政権を間接的にそして巧みに利用して石油利権や軍事利権の安定的確保(操縦)してきた英米を中心とする先進国の中東支配力に陰りが出てきていることの証と捉え、今後の成り行きに注目してみたいところです。



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