2010.12.20 Monday
≪日中関係「良好と思わず」・・・過去最悪の88.6% : 内閣府調査≫
尖閣諸島周辺で中国漁船が海上保安庁の巡視船に衝突した直後の調査(10月下旬実施)である為、この結果は無理からぬことかもしれませんが、「良好だと思わない」が「良好だと思う」を大きく(平均的に30%以上)上回っている状態は、平成16年の調査以降恒常化していました。
尚、昭和61年調査では、「良好だと思わない」人の割合は14.1%に過ぎず、以降、一貫して右肩上がりのトレンドを形成しています。
内閣府政府広報室が実施した「外交に関する世論調査」(平成22年度)の結果です。 時系列で過去を振り返ることができる為、昭和61年の調査開始時点の結果についても触れましたが、因みに当時「良好だと思う」と答えた人の割合は76.1%にも上っていました。
現時点とは全く反対の結果を示しています。
昭和61年当時の日本の名目GDPは約2兆米ドルで、バブル経済に向けての序曲が流れ始めた時代でした。 一方、中国のそれは約3,000億米ドルと、日本との経済格差も歴然としていました。
ところで、「良好だと思わない」と「良好だと思う」の割合は平成7年には約45%の地点で均衡を向え、その後、平成15年迄の8年間は若干の上下はみられたもののほぼ横這いで推移しました。
ところが、平成16年調査では、「良好だと思わない」が61%へと急進、一方「良好だと思う」は28&へと急落しました。 何が契機となったのか・・・?
個々人の感情が反映され易い調査なので、ひとつに特定することは難しいと言えますが、あえて挙げるならばこれではないかと・・・。
中国で開催されたサッカーのアジアカップで、中国側サポーターのとった反日的言動が問題となりました。 背景には、小泉首相(当時)の靖国神社参拝などに端を発する対日感情の悪化があった等と報道されました。
特に、日中の両チームが優勝をかけて臨んだ決勝戦の直後には、自国チームが敗れた腹いせに一部の中国人サポーターが、日本代表選手の乗ったバスを取り囲んだり、日本大使館の公用車が襲撃されるなどの暴動が発生し、日本側の「嫌中感情」を増大させてしまったと言われています。
平成16年当時の日中の名目GDPは、各々約4兆6,000億米ドル・約1兆9,000億米ドルと、中国は日本の半分弱の経済規模を誇るようになってきていました。
尚、今年の日本の名目GDPは約5兆4,000億米ドルに対して、中国のそれは約5兆7,000億米ドルと推定されています。 是認するわけではありませんが、傲慢な姿勢が顕著になってしまうことはある意味自然な流れと思えます。
消費市場の規模の巨大さとその潜在成長力の魅力から、中国を外してビジネスプランを描くことは不可能であろうと考えますが、地勢学上のリスクの高まりやマネージャークラス(幹部級)の人件費の急騰と採用難、加えて各々の国民感情のもつれ等、これまで以上に慎重に戦略を練って行くことを迫らせるでしょう。
因みに、日米関係をみると、「良好だと思う」が恒常的に平均して70%台後半で推移しています。 日露関係では、「良好だと思わない」が70%前後で、過去に一度も「良好だと思う」が上回ったことはありません。
また、近年その経済活動が活況に沸く韓国との関係ですが、共に50%前後で推移してきています。
中国でのビジネス展開に関してお悩みをお持ちの方は、弊社にご相談ください。
〈ご参考〉
政府広報オンライン HP
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