2011. 12.16 Friday
≪大増税国家への「足音」≫
政府税制調査会は15日、最高税率引き上げを含む所得税の抜本見直しの議論に入りました。 社会保障と税の一体改革の一環で、高所得者の課税強化の方向で検討を進め、年内をメドにまとめる「素案」に盛り込む方針です。
これまで、コラムで触れてきたことが、いよいよ現実となりつつあります。
因みに、最高税率の対象者は全体の0.6%と少なく、1%の引き上げによる税収増は約360億円に過ぎません。 (消費税1%の効果は、約2兆4千億円)
しかし、政府税調の作業チームの会合では「高い所得階層の負担が低下しており、税率構造の在り方を検討する必要がある」との意見が出された模様で、度重なる減税で高所得者を優遇してきた税率構造を見直し税収増に繋げる構えで、加えて、低所得者ほど負担感が強い消費税率引き上げへの不満を和らげるとの狙いも見え隠れしています。
また、相続税等に関しては、10日に閣議決定された「平成24年度税制改正大綱」には盛り込まれなかったものの、「この」社会保障と税の一体改革にて組み込まれる見通しとなっています。
ベースとなる内容は、ねじれ国会等の影響で積み残しとなっていた平成23年度税制改正の資産課税に関する事項でしょう。
( 相続税課税強化 + 贈与税やや緩和 等 )
消費税に関して、民主党の藤井税制調査会長は「政府・民主党が年内メドに策定を急ぐ『社会保障・税一体改革』の素案で消費税引き上げ時期や幅に『触れないことはあり得ない』」と述べ、明記する考えを示した等と報じられています。
「大増税国家」に向けて、『猪突猛進』といった感は否めません。
尚、野田首相は9日、臨時国会閉幕を受けた記者会見で、「日本が財政規律を守る国か、世界と市場が見ている。
将来にツケを回すばかりでは、国家の信用は守れない」等として、社会保障と税の一体改革の年内の素案策定に向けて改めて強い意思を表明していました。
「社会保障・税一体改革」に関しては、素案が示された後、改めて解説を加えてみることにして、以下に過去に掲載したコラムを紹介しておきます。
是非、ご一読ください。
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